受粉のやり方
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7.受 粉 チェリモヤの花は,雌しべと雄しべをもつ両性花であるが,人工受粉をしないと殆ど結実しない。これは,生態と習性の項で述べているように開花して花粉が放出されるときには,すでに雌しべの受精能力がなくなっており,我が国では開花前に花粉を媒介してくれる有力な昆虫もいないからである。開花した花も,翌日までに落花してしまう。したがって,チェリモヤ栽培には受粉は必須作業である。 |
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| ▼ ♀ステージの花
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▼ ♂ステージの花
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開花は夕方3〜4時ころから始まり,間もなく花粉を出すようになるが,暗くなるまでに殆ど花粉を放出してしまう。この時期を♂ステージと呼び,この時期に花粉を採集しながら,花弁がやや開きはじめた♀ステージの花に受粉する。 当日のうちに受粉が終わらない場合は夕方までに花粉を採集しておき,翌日早朝から10時ころまでに受粉する。暗くなってからはヘッドライトを点ければ,葉陰に隠れている花を見つけ易く,明るいときよりもかえって能率が上がるものである。チェリモヤの受粉には,とかく♀ステージの花を探すのに時間を費やすものである。 ♀ステージは開花1〜2日前で,花弁の先が半開きとなり,雌しべの柱頭は粘液で濡れた状態で,香水のような独特な香りを漂わせ,受粉の適期を知らせてくれる。 スペインのグリンリバーバレーでは,主力品種であるFino De Jete(フィノ・デ・ヘテ)は自家受粉するので人工受粉はやらないといっているが,♀ステージの花に潜り込んで花粉を媒介する小さな甲虫の1種(Orius)が多数生息していること,また同地は谷間の地形で開花期に比較的湿度が高く,雌しべの寿命が長く保たれるためではないかと思われる。それでも受精が完全でないためか,著者のみた範囲では奇形果が極めて多く,日本では商品価値のないようなものが6割以上を占めている。なお,スペインではチェリモヤの間にトウモロコシを間作すると,花粉の媒介昆虫が増殖し,結実がよくなるという。 |
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花粉の採集 花粉は,枝に着いたままの花からフィルムキャップなどの小さな容器を受けて,細い毛筆で葯ごと払い落とすようにして採集する。また,開花前日の蕾を採り集めて湿気のある容器内で開葯して採取する方法もある。いずれにしても,採集した花粉は常温では1日,5℃の冷蔵庫でも2日くらいが実用寿命であるので,その都度採集するようにしたほうがよい。 |
▲ 小筆で花粉を集める |
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受粉のやり方 受粉に当たっては,通常,葯の混ざった花粉をそのまま用いるが,石松子で2倍程度に希釈して用いてもよい。 チェリモヤは他の果樹のように一斉に開花しない。無加温ハウス栽培では,4月中下旬から始まり,5月をピークに6月まで約100日間にわたって徐々に開花するので着花数の少ない場合は連日,長い期間にわたって根気よく受粉しなければ十分な結実は得られない。着花の多い場合は,数日置きに行っても結実数は確保できるが,日によって開花数に波があるので開花ピークを逃さないようにする必要がある。いずれにしても,奇形果や発育不良果はいずれ摘果しなければならないので,少なくとも目標とする結実数の3〜4割増しくらいは受粉する必要がある。 著者の経験ではかつて,10a当たり約8,000花に受粉を行い,徹底した摘果を行って収穫した果数は約5,700果であった。これが最高記録で,その後記録は更新できていない。 |
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| ▼ 筆による受粉
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受粉には,毛質の柔らかな細い毛筆か小形のポーレンダスタ(受粉噐)を用い,♀ステージの花弁を指先で広げながら,上から柱頭に万遍なく花粉が行き渡るように受粉する。雌しべには多数の柱頭があり集合果であるから,一部の柱頭に受粉しただけでも結実はするものの奇形果になり,商品価値のないものになる。チェリモヤ特有の豊満な果実を収穫するには丁寧な受粉が必要である。 筆で受粉する場合は,柱頭の粘液で筆先が固まり易いので,蒸留水かエタノールで洗浄し,常に毛先の乾いたものを用いるようにする。したがって,受粉作業には何本かの筆を携帯し,筆先が粘ってきたら取り替えながら行う。 |
▲ ポーレンダスターによる受粉 |
なお,受粉の済んだ花には受粉時期を1週間単位で判別できるように,硬貨大くらいの色ラベルを結果枝に付けておく。これは,チェリモヤは成熟しても果実は着色しないので,成熟日数で判別するのが確実で,成熟日数を頼りに果実の張り具合や外観を見 ながら収穫適期を判別するためである。
とにかく,チェリモヤは開花期間が長く,受粉に手間がかかるので何とか受粉作業を効率化する必要がある。蔗糖液などに花粉を懸濁させ,小型のスプレーで受粉できれば能率的であるが,溶液受粉はいまのところ成功していない。一部の品種では,受粉を止めてジベレリン処理で無核化し,果実を肥大させる技術も開発されているが,処理回数を多く要することからまだ実用的でない。
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| 1.品種と栽培特性 | 2.育苗と植え付け | 3.整枝せん定と枝管理 |
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